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2008年12月 1日 (月)

僕らの未来へ逆回転 Be Kind Rewind

ニュー・ジャージーの小さな町パセーイクのビデオレンタル屋で働いているマイクはある日
オーナー(ダニー・グローバー)から旅に出るのでしばらく店を任せると告げられる。そのビデオ屋にはDVDが置いてなくて、VHSだけを1回1ドルでレンタルしている、まさにほんとうのビデオ屋だった。
マイクにはジェリーという友人がいて廃品回収業を営んでいるが、日頃から電磁波が町に悪影響を与えているという妄想に取り憑かれている。ある日ジェリーは変電所を破壊しようと侵入を試みるがその時に大量の電磁波を体に帯びてしまう。
そんな体のままジェリーはビデオ店内に入ってしまったものだから電磁波によってすべてのビデオの中身が消えてしまった。

店長不在の間にとんでもない事態になったマイクはあわてる。ゴーストバスターズを借りにきた客(ミア・ファーロー)には夕方までに用意すると言ってとりあえず帰すが解決策が見あたらない。ジェリーの発案で自分たちで撮影すればいい、どうせ客は内容などわからないのだから、という強引な提案に渋々マイクは従う。自ら出演してビデオカメラでゴーストバスターズを撮影し始める。図書館のシーンではクリスマスの飾りを幽霊にみたて、段ボールで作ったニューヨークの摩天楼の中でマシュマロマンが泡だらけになる。
 恐る恐る貸し出したビデオはなぜか、地域の人々に大ウケしてしまった。顧客からは「ラッシュ・アワー2」「ロボコップ」「ドライビング・ミス・デイジー」のリメイクの発注が次から次へと舞い込む。大忙しでリメイク作りに励むジェリーとマイク。

ビデオ屋は区画整理で新しいマンションを建設するために市から立ち退きを迫られていたのだが、オーナーは経営を見直すために実はライバル店を偵察していた。
 DVD屋として出直すつもりで帰ってきたオーナーは店のあまりの繁盛ぶりに驚く。リメイクを待つ客で店の前は長蛇の列だったのだ。これで建物を買い取り立ち退きしなくても済むと希望を見出すオーナー始めマイク達だったが、そううまくはいかなかった。あまりの店の繁盛ぶりを聞きつけたFBIが著作権侵害の法律違反として即刻リメイクビデオの破棄と業務停止を命じたのだ。(懲役と莫大な損害賠償も告げられたがそれはどうやら避けられたようだ)。
ローラーで粉砕されるビデオ(違法コピーの時計を廃棄するときのような映像)。意気消沈するマイク、ジェリー、オーナーそしてビデオの愛好者たち。
 消滅するしかないダニーのビデオ店。最後に店員、顧客総出演で地元出身のジャズ・プレーヤー、ファットの映画を作って店内で上映する。屋外から聞こえる歓声におそるおそる外に出てみると、黒山の人だかり。窓に幕をかけて映写した映像は外からもばっちり見えていて、それを観るためにたくさんの人々が集まっていたのだ。
まるで映画の原点のような光景がそこにあった。

ミシェル・ゴンドリーの映画はキャラクターの行動に対して説得力に欠けるところがあって、クビをかしげざるを得ないようなシーンも多々あるのだがその不安定さも含めて彼の映画の魅力なのだと思う。
登場人物達はほとんどが現代の社会にうまく適合できない敗者たちばかりだ。
そもそも舞台となるNew Jersey自体が敗者と言えなくもない。New Yorkのとなり。東京における埼玉(埼玉の皆さん、すいません)?。そういえばトッド・ソロンツの”Happiness”もNew Jerseyが舞台だった。負け犬が似合う街New Jersey。素敵じゃないか。
結果としては現在のハリウッド大作ムービーへの痛烈なアンチテーゼとなったが、
ミシェルは始めから特に高邁な批判精神を持ってこの映画を作ったのではないと思うのだ(今でも本人はそうだと思う)。単にダメ男達がチープなリメイクムービーを撮るというおばかムービーを撮りたかっただけなのだ。ただその動機があまりに純粋で普遍であったからテーマが格調高いところまで昇華していった。ミシェル自身が演じているトレーラー(予告編)をぜひ観て欲しい。バカを本気でやるすばらしさと美しさ。かなわない。

名作というには何かが足りない、しかし足りないところが魅力になっている映画である。皮肉ではない。愛すべき佳作だ。ぜひ観て欲しい。

しかしこの邦題「僕らの未来へ逆回転」はなんとかならんものか。配給会社が考えたのか。それともどこかの
広告代理店に頼んだのか。チケットを買うときにタイトルを言うのが恥ずかしい。知り合いに「昨日ミシェルゴンドリーの映画見たよ、題名は『僕らの未来へ・・・』」なんて言いたくないなあ。

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