「未来を写した子供たち」 Born into Brothels
インドのカルカッタの売春街に暮らす子供たち。祖母、母と代々娼婦の家だったり、父親がアヘン中毒で家は売春街にやってきた客に酒を出す商売をしていたり、と周囲はとにかく売春に関する商売に携わっている。将来は親と同じようにこの街で娼婦かヒモになるしかない、そんな絶望的な環境。
将来に夢を持つことなど不可能な子供たちに、女性写真家ザナ・ブリスキはカメラを与えて写真撮影を教える。写真によって世の中に希望があることを子供たちは知る。ザナは子供たちの撮った写真を使ってニューヨークなどの都市で展覧会を開き、世間の関心を引き寄せるとともに彼らが学校へ通うための資金を集めることを試みる。
なかでもアヴィジット少年は写真の才能を認められ、アムステルダムの写真展に招待される。アヴィジットは母親の死にショックを受け一時写真に対して興味を失いかけたが、ザナは彼のパスポートを取得するために奔走する。前近代的なシステムの中煩雑で絶望的に遅い役所のペーパーワークに悩ませながらもなんとか彼のパスポートは発行される。アヴィジットはアムステルダムでつかの間他国の子供たちと交流を深める。
慈善団体の協力もあってアヴィジットも含めて何人かの子供たちは全寮制の学校へ通うことができた。子供が手元を離れることを嫌い親から入学を認められなかったこどもいる。
映画は最後子供たちのその後について簡単に述べている。3人で仲良く入学した少女たちだったがそのうち2人はすでに退学している。アヴィジットは進学した。ある子は娼婦街で暮らしながらの進学を目指し、ある子は親の反対で学校に通えず、ある子は親の手元におかれおそらく娼婦になる。
アカデミー賞のドキュメンタリー部門を受賞した映画。ザナの活動と子供たちの状況をカメラは静かにしかししっかりと追っている。
BRICsの一国として経済の発展がめざましいインドのある一つの現実。そして場所はたまたまインドのカルカッタ(コルカタ)ではあるが、同じような境遇の子供たちは世界中にいる。世界中の子供をすべては救えないが、今目の前にいる子だけにでも希望は与えたい。慈善活動とはそういうものなのかもしれなれ。
月並みな言い方だが、子供に罪はない。それを痛感する。しかしその親たちもかつては子供で同じような境遇だったはずだ。だとすると親にも罪はない。
ちなみに映画の中で才能を認められたアヴィジット君は今ニューヨークの大学(!)に進学したということが後日のエピソードとして監督がインタビュー時に語っている。
将来の希望は映画監督になることだという。


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